大判例

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東京地方裁判所 昭和43年(借チ)2074号 決定

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔決定理由〕……本件で調べた資料によると、申立人らは相手方から本件土地を建物所有の目的で賃借し、右地上に……二棟の建物を共有していたが、右建物を敷地の賃借権とともに代金一、〇六〇万円で株式会社山田栄一商店に売渡す旨の契約を結んだこと、しかして申立人らは相手方の代表者北条浄善に対し右借地権譲渡の承諾を求めたが、その承諾を得られないまま昭和四二年八月中右会社から代金全額の支払を受け同月二五日前記各建物の所有権移転登記を経由したこと、右建物のうち……の居宅の二階及び……の工場(倉庫として使用)は従前から前記山田栄一商店において賃借使用し、右居宅の階下は申立人柴田福が居住しており、売買後その荷物を一部運び出した事実はあるがいまだ明渡は完了しておらず、その占有状態に変更があつたとはいえないけれども、最近前記会社において両建物の間に浴場及び手洗を増設してこれを使用していること、相手方は、上記の事実に基き賃借権の無断譲渡があつたとして、その主張のとおり契約解除の意思表示をしたことをそれぞれ認めることができる。

申立人らは、右売買において、地主の承諾があるまで建物の所有権の移転を留保したと主張し、証人府川泰規もこれにそう供述をしているけれども、既に一〇〇〇万円を超える代金も完済され所有権移転登記がなされているなど、前判示のような客観的事情から判断してたやすく肯認し難い。

しかして借地法第九条の二第一項によれば、右規定に基く申立は建物の譲渡前になすべきものとされていると解されるところ、上述したところによると、本件においては、右にいう建物の譲渡は既になされていると認めざるをえないのであつて、本件申立はこの点において不適法として却下を免れない。(安岡満彦)

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